26歳中間管理職の日記

26歳、中間管理職。上にも下にも、自分にも気を遣って頑張ってます。いろいろ書く雑記です。

あなたの夢をあきらめないで

10月の、よく晴れた木曜日。

2日後に厚別での柏戦を控えた札幌の街は、夏の忘れ物のようなやわらかな陽射しが降り注ぎ、これ以上ないくらいのサッカー日和だった。

 

「今日が試合の日だったらよかったのにな」

 

天気を見ただけでそんな風に考えてしまうのは、北海道コンサドーレ札幌というチームの応援を生活の中心に据えて過ごしてきたという何よりの証拠だろう。

我ながらあきれるけど、少し誇らしい。

 


出先での打ち合わせを終え、事務所へ戻るために車に乗り込み、エンジンをかける。

つけっぱなしにしていたカーラジオから聴こえてきたのは、お馴染みのメロディ"MOON OVER THE CASTLE"。

コンサドーレサポーターの誰もが知っているこの曲をBGMに語られるラジオCMには、やはりこちらも目新しくはない、ありきたりな文言が散りばめられていた。


「サポーターの力で!」


「聖地厚別で、勝ち点3を!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


僕は、車の中でボロボロと泣いた。

聴き慣れたフレーズを引き金に自分の中から熱いものが一気にこみ上げてきて、どうすることも出来なくなってしまった。

 


「勝ちたい。J1に、残りたい」

 


あとからじんわり湧き上がってきた感情が涙の理由だとしたら、皆で掲げて目指してきたこの"目標"の成就を、潜在意識のレベルでも強く求めているという何よりの証拠だろう。

 

「もう、ここまで来ると病気だな」

 

我ながらものすごくあきれたけど、また少し涙が頬を伝うのがわかった。

 

 

ようやく駐車場を出ることが出来たのは、その数分後のこと。

運転中にもしものことがあったら困るので、カーラジオの電源は切り、「少しでも気を紛らわそう」とスマートフォンの音楽アプリをランダム再生にする。

 

マルーン5の軽快なメロディが車内に響き始めた。

 



「降格候補筆頭」という勲章を胸に、僕たちの数度目のJ1は幕を開けた。

コンサドーレの春はいつだってそうだ。

 

悔しい。

けど、過去に積み上げてきたものを見れば、サッカーを知る者なら誰しもが常識的な判断として上から15番目までに北国のチームの名を挙げることはない。

これが僕たちの向き合うべき現実だった。

 


◯が1つ、△が1つと………●が3つ。

4月の声を聞く頃には「開幕5試合で勝ち点5を確保できなかったチームは降格」という誰が見つけたのかわからない不名誉なジンクスも、ずいぶんとTwitterのタイムラインを賑わすようになった。

 

そして、あの6連敗である。

 

スタジアムでは絶対にネガティブなことを口に出さないようにしていたし、ブログでもTwitterでも威勢のいいことをずっと書いていたけど、それでも「今日も負けるかも」「J2に落ちるかも…」という恐れは、常に心のどこかに潜んでいた。

今思えば、苦しかった。

 


それでも僕が応援をやめなかったのは、負けが込んでいるときも目標に向かって正しい方向に進んでいて、それを信じてやり続けていれば必ず結果が出ると思わせてくれるチームだったというのもあるし、何よりも「"J1残留"という尊い目標をみんなで一緒に成し遂げたい」と思わせてくれる周りの仲間が居たからだ。

 


僕は、サポーターに与えられた役割は「なるようにしかならないことを、なるべく希望に近い結果にするために"願う"ことだと思っている。

 

サポーターの僕たちに出来るのは、突き詰めていけば"願う"ということだけだ。

 

試合中、直接ボールに触れるわけではないし、選手起用に口出し出来るわけでもない。

ただ「目の前の試合に勝ってくれ」と、願うだけ。

 

しかし、願いという強いエネルギーが無ければ困難な課題は達成できないし、ときに願いは人をも動かす。

俗に言う「試合終盤のキツいときに、サポーターの声援であと一歩が出る」というやつがそうだろう。

 

多くの人が同じ願いを持ち、そのベクトルが一緒なら、それはより強力になる。

スタジアムに集いし"願い"の熱量を、チームに伝えるために体現する手段として僕たちに許された行動。それが"応援"である。


だからこそ、上昇の兆しが見え始めた夏場から、仙台・磐田に連勝した秋にかけて成長していったチームに、自分もサポーターとして関わることが出来ているという喜びが大きかった。

その自負があるからこそ、目の前の柏戦に対して感情が昂ぶり、涙があふれてしまったのだろう。

 


 

 

-あなたの夢を あきらめないで

     熱く生きる 瞳が好きだわ

 

ランダム再生の音楽アプリから、岡村孝子の「夢をあきらめないで」が流れてくる。

もう涙はすっかり止まった。事務所への道のりを軽快に走る。

 

 

-切なく残る 痛みは

    繰り返すたびに 薄れてゆく

 

「J2降格」という切なすぎる"痛み"は、繰り返すたびに強さを増していった。

もう繰り返すわけにはいかない。歴史を変えるんだ。

 

この仲間たちとなら、やれるはず。

 

 

-あなたの夢を あきらめないで 遠くにいて 信じている

 

 

 

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2日後に控えた柏戦は、今年の厚別での最終戦になる。

今シーズン、公式戦はたったの2試合しかやらなかったけど、やっぱり「厚別最終戦」となれば寂しい気もするし、目一杯楽しまなきゃとも思うし、応援も全力を尽くさなければとも思う。

 

 

 


札幌ドーム最終戦の前の日も、同じように思うのかなぁ。

 

 

涙の余韻の中、ふと頭に浮かんだ疑問。

その答えは、12月1日になればわかるだろう。

 

 

 

(この記事は「北海道コンサドーレ札幌 Advent Calendar 2017」に参加しています。)