今でも鮮明に覚えている。
2011年秋、西京極。
後に最終戦でFC東京を2-1で破り、劇的なJ1昇格を果たしたシーズンの話であるが、平日ナイターで行われたアウェイのこの試合は0-4という大敗であった。
この試合こそ、僕が初めてコンサドーレ札幌のゴール裏に足を踏み入れた試合である。
(事前知識も何もなかったものだから、鮮明に覚えているのも実は「キーパー韓国人なんだ…(ホスン)」と「クシビキって変な名前…」だけというのはここだけの話)
◇
初めて入る"ゴール裏"という世界はこれまでに味わったことのない雰囲気で、本当に初観戦の自分がここの一員で居ていいのか、正直不安で仕方なかった。
そんな不安を和らげてくれたのは、この日熱心にゴール裏へと誘ってくれた友人から借りた、1枚のレプリカユニフォーム。
スタジアムに着いてユニフォームに袖を通すと、途端に周りの先輩サポーターたちと同じ"仲間"になれた気がして、「わからないなりに精一杯応援せねば…!」という気持ちが自然に湧いてきた。
本格的にゴール裏通いを始めた2013年の春先の試合でも、やはり友人からレプリカユニフォームを借りた。
ホーム・札幌ドームのゴール裏で赤黒に身を染め、我が街のために声を張り上げて応援する、という行為の虜になったのは、間違いなくこの試合がきっかけである。
味のあるレトロな電光掲示板に映された「4点差完封負け」という事実を冷たい秋風とともに身体に焼き付けた西京極のあの夜と、松本のアンチクショウに2分で2点取られて逆転されたあの日。もし友人からユニフォームを借りていなかったら……。
もしかすると、僕は今コンササポをやっていなかったかもしれない。
ゴール裏のドレスコードは「レプリカユニフォーム」
正式にそんなものがあるわけではないが、「着てくるべき」「着てて当たり前」みたいな風潮は少なからずあると思う。
しかもそれは常連メンバーではなく、まだゴール裏に足を踏み入れたことのない人の中に多い。かつて自分もそうだった。
ゴール裏での観戦のハードルが高いのは、そういったところにも一因があるのではなかろうか。
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しかし、かと言って簡単に買えるほどサッカーのレプリカユニフォームは安くはない。
僕のように周りに貸してくれる人がいればいいが、全ての人がそういう環境に恵まれているわけではないだろう。
◇
先週のFC東京戦の翌朝、クラブからのリリースに先駆けて新聞紙面に掲載された、とある記事が話題を呼んだ。
北海道コンサドーレ札幌、クラブ史上初!
「オリジナルユニフォーム型Tシャツ」を先着1万名様にプレゼント!赤黒のユニフォームを着て応援しよう!
なんて太っ腹な企画であろうか。
これでレプリカユニフォームには手が届かなかったけど応援したい人にも、ユニフォームが行きわたる。
◇
この企画を受けて、こんな動きもあるのでぜひ紹介させてもらいたい。
実際、ユニフォームTシャツみなさん入りますか??ユニフォーム持ってる私たちは、受け取らないで試合ギリギリとかに来る新規の方に回すというのはどうでしょうか。もしくはもらっておいて、貰えなかった人に配るとか…
— さくら (@55393955) 2017年4月9日
実際、ユニフォーム無いとゴール裏行きにくい気持ちってわかるんですよね。昔うちは家族で1枚しかなくて、兄が持って行った日はユニフォームきれなくて…だから、ユニフォーム持ってないより多くの人にきさせてあげたい。どうにかできないものか
— さくら (@55393955) 2017年4月9日
既に持っている人は遠慮しておいて、持っていない人に回そうという素晴らしいアイディア。
入場時に遠慮するのもありだと思うけど、個人的には一旦受け取って、本当に欲しがっている知り合いに直接渡すのが良いかなと思う。
こういう形で草の根的にコンサドーレのサポーターを増やしていけたら、間違いなくクラブにユニフォームシャツ1万枚分以上のペイが出来る。
そのために動けるのは、我々サポーターだろう。
「やりたい人がやればいい」程度の話でずいぶん長い記事になってしまったが、せっかくのプレゼントの価値をより高める方法として、考えるきっかけになれば幸いである。