日曜日の昼下がり。
気温こそ30度には届かないものの、今日はなんだからしくない蒸し暑さが身体にまとわりつく。
道産子には堪える気候ではあるが、北国の夏の短さを思えばまぁ許してやろうかとも思えてくる。
お盆を過ぎれば、街全体が秋に向けて一気にスピードを上げる。半袖半ズボンでいられるのも、あと1ヶ月ちょっとだろう。
俺達の街・札幌の夏は、だいたいいつもこんな感じだ。
そんな街を、僕は愛している。
◇
7月29日、北海道コンサドーレ札幌が強豪浦和レッズに2-0で勝利。
J1屈指の好チームとの対戦は戦前から注目度が高く、札幌ドームに集まった観衆は3万3千人以上。
その一人ひとりが新たな歴史の目撃者となり、翌朝には道内各スポーツ紙の一面を飾るまでの盛り上がりとなった。
しかし一夜明けた今日、蒸し暑い札幌は、いつもと同じ短い夏の一日に戻っていた。
この街で今日もなお勝利の余韻に浸り、そのことを周りの誰かに話せずにいられない!という市民が、果たしてどれだけいただろうか。
正直、まだまだ多くないよなぁ…。
そんなことをぼんやりと考えながら、出先へ向かう車のハンドルを握る僕の目に、初めての光景が飛び込んできた。
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3~4歳くらいの男の子が、友達と三輪車で遊んでいる。
その子が身にまとっていた服は………コンサドーレのユニフォームだ。
青の日本代表ユニフォームではなく、レアル・マドリードでもなく、バルセロナでもない。赤と黒の縦縞の、俺達の街の戦闘服。
親御さんが着せたのだろうが、初めて目にするその姿が嬉しくて、嬉しくて。
◇
今日、道端でたまたま見かけた、名も知らぬキミへ。
コンサドーレ札幌のユニフォームを着て遊んでくれてありがとう。お父さんかお母さんに着せてもらったのかな?
キミはまだサッカーのルールもわからないと思うし、ひょっとすると自分が着ている服が何なのかもわかっていないかもしれない。
けれど、きっと物心がつく頃にはコンサドーレ札幌というチームのことが好きになっているだろう。
このチームを応援するのは、とても楽しいぞ。ハマるに違いない。
でも、コンサドーレはまだまだ発展途上で、他と比べたら強くはない。
キミが成長して小学生になったとき、コンサドーレのユニフォームを着て遊んでいたら、もしかしたら周りの友達からバカにされるかもしれない。
「どうせJ1とJ2行ったり来たりなんでしょ」
「またコンサダメだったね」
「日本のサッカーなんてレベル低いんじゃない?」
こんなこと言われたら、悔しいし、ムカつくに決まってる。
もしかしたら、コンサドーレを好きでいることが恥ずかしく思えてくるかもしれない。
なんでこんなことを言う人がいるのかな?
その理由は、やっぱりまだまだ強くはないし、北海道コンサドーレ札幌というチームのことを知らない人が多いから、だろう。
だから、僕らおじさんたちは今、一生懸命応援するよ。
コンサドーレが強くなるように。
コンサドーレがいつもJ1にいられるように。
コンサドーレに興味を持つ人が、今よりもっともっと増えるように。
日常の中でコンサドーレ札幌のユニフォームを着てくれているキミが、これからも誇らしく着続けることができるように。
周りの友達も真似したくなるように。
いつしか、札幌の街の子供が赤黒のユニフォームを着ていることが、普通の光景になるように。
キミが大人になるまで、頑張るよ。
キミが高校生、大学生、社会人になったら一緒にゴール裏で応援しよう。
その頃には、応援の中心を担うのはキミたち世代だ。
子供時代からの応援の経験は、そのとききっと糧になる。
だから、少しずつでもいいからずーっと北海道コンサドーレ札幌というチームを好きでいて欲しい。
◇
大きくなってゴール裏に出入りするようになったら、多くの仲間達に出会うことになるだろう。
「好きな選手は?」とか「思い出のシーンは?」なんていう質問は鉄板だ。
話しているうちにすぐ打ち解けられるし、初めて知り合った人に僕もよく使う。
そうそう、「いつからコンサドーレ応援してるの?」という質問も外せない。
何年後になるかな、僕にこう問われた若者が
「気づいたら応援してましたね。ガキの頃から親にコンサのユニフォーム着せられてて、ユニ姿で三輪車で爆走してましたよ(笑)」
なんて笑って言ってくれたら嬉しいな。